はじめに
イーコマース事業協会(会員数220社)は、日本で最も歴史があり、日本最大級の“イーコマース(EC)事業者の商工団体”として活動している団体で、“イーコマースの経験・知識・情報を持った人が集まる場” を合言葉に、関西を中心に 日本全国からネットショップ関係者が定期的に集まって互いに学びあっています。
私はイーコマース事業協会会員で、広報委員会に所属の合同会社HOMESLICEPRODUCTIONSの崎山靖夫と申します。
先日行われた「第174回定例会・情報交換会」の参加者の1人として、当日のレポートを報告致します。
2月8日13時からの各委員会開催の後、14時から「第174回定例会・情報交換会」が「新大阪丸ビル別館2-3号室」にて開催されました。
参加人数は会員:73名 ゲスト:4名。
第1講演では、 巣鴨のお茶屋さん山年園の代表取締役 塩原 大輝様 様に、 『お茶屋の高みを目指して。。』と題してお話を頂きました。
第2講演では、 合同会社アウトワールドの代表社員 イーコマース事業協会 副理事長 岡村 篤様様に、 『計画ゼロ、資金ゼロ、経験ゼロで「ふんどし」という超絶ニッチな商品を選んだワケ』についてお話を頂きました。
有限会社山年園 代表取締役 塩原 大輝 様が登壇
ご講演タイトル 「 お茶屋の高みを目指して。。 」
■聴講者の声
ご家業である創業60年以上の老舗のお茶屋に入社されたころは、完全に債務超過で半年ほど無給だったそうです。
まず改善されたのがアップできていない商品をどんどん登録、価格の値上げ、送料無料商品を増やしていったとのことです。
『いろんなことをやる』を念頭に各モールや自社サイトで多店舗展開、Amazon.comなど海外展開も積極的にすすめられております。
今後はアリババなどを利用して海外卸なども積極的に展開したいとのことです。
商品開発も積極的でギフトショーを視察、良い商品があると楽天内にランキングがあるか、検索結果がどれくらいあるかを調べ、このカテゴリーはいけると思ったら仕入れをされるということです。
〇同族経営の厳しさ
『家族仲の問題』、『事業承継の大変さ』、『伝統』、『古参社員のとの確執』など外側からなかなか見えない部分を赤裸々に語っていただきました。
何もないところから会社を作る難しさもありますが、何十年も続く伝統ある会社をある意味壊していく難しさもあったのではないかなと感じました。
〇広告運用について
広告運用についてもモールごとに有効な使い方をお話いただきました。
楽天は市場広告、サンキュークーポン、RPP、クーポンアドバンスなど、
ヤフーショッピングはストアマッチ、アマゾンはスポンサープロダクト、自社サイトはグーグルショッピングなどが結果に結びついているとのことでした。
PRオプションについては単品販売商品の利率を多めにかけて、そこを導線に、まとめ買い商品(利率低め)を販売促進するという使い方を教えていただきました。
〇2020年これからの経営
・自社サイトの強化
・海外販売の強化
・実店舗の強化
・Paypayモールにでたい
最後にお伝えしたいこと15個についてお話いただきました。
・論理的思考にならないこと
・在庫がないことが悪
・商品数はキーワード数
・圧倒的お客様目線(商品はお客様が決める)
・自社だけの商品、サービスを開発する
・商売のすべてがスピード命
・基本、答えはグーグルにある
・困ったときは仲間に聞く
・餅は餅屋に任せよう
・商売にスキ、キライは関係ない
・魂のこもっていないページは売れない
・人柄を大切に
・ポリシーを忘れない
・商売の本質を忘れない
・やらないことは悪
どれも響くことばでしたが、成功しているお店は『商売のすべてがスピードが命、経営が傾くこと以外はすべてすぐにやった方がいい』という言葉が印象的でした。
数年で会社を立て直し、大きく成長されている経営者の知見が詰まったお話でした。
塩原様、貴重なお話ありがとうございました。
合同会社アウトワールド 代表社員 岡村 篤 様が登壇
ご講演タイトル 「 計画ゼロ、資金ゼロ、経験ゼロで「ふんどし」という超絶ニッチな商品を選んだワケ 」
■聴講者の声
岡村様は『暮らしに寄り添う安らぎ』をサイトコンセプトにおしゃれふんどしをメインにネット販売をされておられます。
『なんでふんどしなんですか?』と聞かれることが多いそうですが、実家の空きスペースを使って何かビジネスができないかというのがスタートでホリエモンの儲かるビジネス4原則『小資本』、『少ない在庫』、『利益率が高い』、『毎月の安定収入』をもとに商材を考えたということです。
以前の勤め先は季節商材を扱っていて発注などでかなり苦労されたそうで、自分でやるならリピート商材であまりスペースを取らない商品で始めようというところから、まず男性下着の販売を始められたそうです。
しかしながら簡単には売れなかったそうで、そんな時、『人生はふんどし1枚で変えられる』という本に出会い、ふんどしに可能性を見出したそうです。
著者に直接連絡を取られ仕入れを打診したが断られたため、自らブランドを作ることを決断されたとのことです。
〇はじめてのものつくり
Kibidangoというクラウドファンディングのサービスを使用して資金を調達されたそうですが、その時は資金調達よりもプロジェクトを通して今から何をする人なのかを発信したいと思っていたそうです。
『ネットでサンプルを購入』、『ネットで素材・生地を購入』、『ネットで縫製者を探し縫製を依頼するという』、すべてネットで完結させるところは非常に驚きでした。
モノづくりのサイクルは『商品発売→レビュをみる→改善する→モニターする→発売する』 の繰り返しだということです。
また商品開発のポイントは『こだわらない』、『ターゲットの意見を聞く』、『小さく始める』、『サイクルを回し続ける』ことが大事で、こだわり続けても商売として回らなければ続けていくことができなくなるだけということでした。
ユーザーとともに改良を重ね商品開発をおこなっているところは、 正にD2Cのお手本のように思いました。
〇イメージ戦略
ふんとし=古い、ダサいというイメージを変えたいということでHPをリニューアルし、商品画像も当時としては初のふんどしに女性モデルを起用した撮影をし、イメージを刷新されたそうです。
ロゴや撮影はランサーズを使って仕事を依頼されているそうです。
これからの時代は文章でやってほしいことをうまくまとめる能力が大事で、それがないとランサーズなどでは発注が難しいということでした。
私自身も今後はランサーズなどをうまく活用していきたいと思っているので大変参考になりました。
〇プレスリリース
最初にバリュープレスを利用してプレスリリースを出した商品がお買い物系ブログの記事になり、この記事がスマートニュースに取り上げられ即完売となったそうです。
テレビなどの大きなメディアは内容の信頼性を担保するため、メディア掲載履歴などを重要視するらしいので、最初は影響力が少なくても地方紙などにも積極的に掲載してもらい継続していくことが大事だということです。
〇資金調達
公的な補助金などをうまく活用されておられ、小規模事業者持続化補助金を4回も取得されたそうです。
申請は業者や士業に頼むのではなく自ら申請されることをすすめておられました。
申請書や事業計画書作成のコツ、ポイントをお話いただきました。
・問いをよく読み、問われている事のみ書くこと。
・自社から視点だけではなく客観的にみること
・補助金の場合は課題があるから申し込む。課題を明確に。
・市場規模や売り上げ予測などは公開数値でうめる
・とりあえず箇条書き
・誰の何を解決する事業なのかが一番大事
クラウドファンディングについては4回トライされ、基本はプレスリリースの為だそうですが、リピーターやファンの方のアクションを見るためにも活用されているそうです。
達成することが目的ではなくて、得た資金でサービスを展開することが大事。
繊研新聞に取り上げられ、上場企業から声がかかり、卸販売がはじまったこともあるそうです。
最後になぜ起業したかの理由として、『work shift』という本を読んでサラリーマンに危機を感じ、『ゼロから考えて実行して稼ぐというのが当たり前の時代になってくる』と思って起業を決意されたそうです。
また今後の未来に想像がつかないので自分の子供に『自分でやって自分で稼ぐ』というところを見せておきたかったと仰っておられました。
岡村様の人生観が詰まったご講演でした。
岡村様ありがとうございました。
月間売上達成店舗表彰
京都インバン株式会社様の「はんこ女子会Yahoo!店」が500万円を突破して600万円到達され、理事長よりお祝いのトロフィーとお花が渡されました。
誠におめでとうございます!
情報交換会 個室居酒屋 酒と和みと肉と野菜 新大阪店 参加者62名
定例会終了後は、情報交換会
定例会が終了した後は、大陸まんま店て情報交換会が行われました。
イーコマース事業協会は “業種・業態・地域・経験・年齢・立場” が異なる会員同士が、イーコマースという共通のテーマで対等の立場で学んで、会って、お互いに情報交換しながら自分のビジネス向上の気づきを得る場として情報交換会を行っています。
今回の情報交換会は54名(講師含む)名が参加し、お互いに知見を交換しあったり、相談しあったり、激励しあったりしていました。
新型コロナウィルスの影響で6月までリアルでの定例会の開催は中止となりました。
イーコマース事業協会の定例会についての詳細は、こちらをご覧ください ≫ https://www.ebs-net.or.jp/regular_meeting/
2020年2月25日 合同会社HOMESLICE PRODUCTIONS 崎山 靖夫(広報委員会)