株式会社ピー・ビー・アイ
高木 孝様

2009年3月定例会でご講演をいただきました、今回は株式会社ピー・ビー・アイ 代表取締役社長 高木 孝氏をお招きして、シルバーバレットの「モバイルの強みを知り、徹底的に活かす戦略をお伺いします。定例会の詳細はこちら

株式会社ピー・ビー・アイ 代表取締役社長 高木 孝様

―なぜネット通販事業を始めようと思われたのですか?
高木 孝氏:
狂牛病が世間を騒がせたときで、取引先の倒産や牛関連の商品の注文キャンセルが相次ぎ、自社での販売体制の強化を図るため、ネット通販を始めました。 
―今回のご講演では、御社の会員数が想像以上に少なかったことに一番驚かされましたが、価値のある会員集めのためにはどのようなことに力を注いでいますか?
高木 孝氏:
会員集めに関してはそれほど気にしていません。高いコストを使って、ムリにリストを増やすような仕掛けもしません。そもそもニッチな業界ですから、他の店舗さんのようにアドレスを集めても結局は適正値(リスト数)まで、淘汰されてしまいます。なので、まず大事なのはコアユーザーのリストを集めること。つまりリストの「量」より「質」を大事に考えています。そして会員リストの離反率を下げること。そのためには、一次接触の質をあげるだけではなく、二次接触、三次接触に至るまできちんとしたサービスを徹底することが大事だと考えています。
―購入客の7割がモバイルユーザーとのことですが、お客様対応にはどのようなことに気をつけておりますか?
高木 孝氏:
やはり、PCよりも情報が少ないモバイル経由での購入のため、お客様の中には「買った後に」不安に思われる方も多いと思います。特にモバイルだけに注力しているわけでもないんですが、買ったときの「気持ちの高ぶり」をなるべく冷めさせないように、いち早い配送を心がけること、そしてお問い合わせがあった時などは、なるべく早く対応させていただくこと。当たり前のサービスの質とスピードを突き詰める。これが大事かな、と。

あとは、買う前の「期待値」と買った後の「評価」に落胆すべき差があるとお客様は二度と買っては頂けません。モバイルの様に、情報が少ない中での購買決定には「勢い」みたいなものが強くあると思います。なので、お客様の理想を崩さないように、つまりは写真一枚とかも、モバイルで見るユーザーの視点に立って画像制作などを行っています。届いた後に「あー、思っていたのと違う」と、期待値を下回る評価をされないような努力が、特にモバイルには必要かと思われます。
―この短期間で急成長を成し遂げ、それに伴い急増したスタッフの管理にもご苦労をされているようですが、スタッフのモチベーションアップのために気をつけていることなどはございますか?
高木 孝氏:
これは、なかなか一言では言い表せませんが。。。あえて言うなら、信頼して任せる、褒める、そして、受け入れる、という事でしょうか。信頼して任せる、という事で、社員一人一人が常に選択と決断を繰り返し、自律して考えながら仕事をこなす。その結果、社員が自信とやる気を持って業務に取り組んでくれる事が理想です。よい結果を残せば、きちんと褒め、評価してあげる。残念ながら、悪い結果になったとしても、その経験はムダにはならないよ、と受け入れること。そのために、社長である私がする事は社内全体に常にやる気の橋を架けてあげる事が重要だな、といつも思っています。そして、社員一人ひとりを「主役」にしてあげられるような、環境作りが大事だと考えます。彼らは、やはり色々なことにチャレンジして、成長したいのですから。彼らのレゾンデートルを、自分自身で気付かせてあげること、こうすれば仕事が楽しくなるはずです。
―変化の激しいファッションジャンルの中での新商品開発にあたって一番意識していることは何でしょうか?
高木 孝氏:
もちろん、全方位にアンテナを立ててトレンドを掴む事は大事ですが、なんでも、まず顧客視点で見てみよう、考えてみよう、という事でしょうか?こちらがいい商品だと思っていても、その答え、つまり売れる、売れないを決めるのはやはり市場(顧客)です。売れない、という事を因数分解すると、需要が無いから、顧客がいなくて売れない、という事だと思います。まずは、市場を、お客様を見て、その商品が本当に喜ばれるのか?その企画にニーズがあるのか?ベネフィットはあるのか?そして一番大事なのは、ユーザーを感動と喜びを与えることができるか?そういう商品や企画を考える事を、第一に意識するようにしています。
―今後の戦略と展望がございましたらお聞かせください。 
高木 孝氏:
私はここまで、この事業を成功させる事をまず最優先に考え、やっきました。しかし、これからは社内に事業を成功させられるような人材を何人育てていけるか?企業発展にためには、まず社員一人ひとりが経営者感覚を持てるようになること。そして、3の質問でも書きましたが、人は色々な事にチャレンジしたい、成長したい、という気持ちを持っています。その気持ちを伸ばせるよう、社員が自発的に何かを考え、チャレンジしよう!という環境を作ること、つまり、社員を経営者に育てるべく教育し「主役」にしてあげ、やる気とやりがいをい持って、新しい事にチャレンジさせてあげられる環境づくり、それが一番の戦略であり、展望であります。明確な目標を持った社員たちが集まって、一人ひとりが自律しながら、なおかつ相互に支援しあうことができれば、何にチャレンジしたって、何だってできる気がします。ベースができれば、あとは商品、戦術、運営などは、一気に走りだすと考えています。社員一人一人の可能性を引き出す事が大事なんです。そして、インターネットこそ、中小企業に与えられた「大」を喰えるギフトだと思っています。せっかく質の高い商品やサービスなどを持っているのに、昨今の欧米型流通の「量」の戦略に追われ、なかなかその質の高さを生かしけれない、日本の経営者の方々がたくさんいらっしゃると思います。

でも日本のいいところは何事においても「質」の高いところです。その「質」の高さを世に拡げるためには、それまでの自身の流通の限界を超える必要があります。そして、それを実現するためのツールがインターネットであると考え、まさにこの時代に与えられたギフトだと思っています。   

そのインターネットというツールを通じて、そのギフトの素晴らしさを世に広めたくさんの方の役に立ち、社会に貢献できるような生きがい、働きがいの会社を創っていきたいを思っています。
○講演タイトル
モバイルの強みを知り、徹底的に活かす戦略

■プロフィール
2002年、有限会社パワーボムに入社。 さまざまな業務に従事したあと、2005年、社内の新規事業としてEC業を展開する「IT・EC事業部」を立ち上げ、事業統括部長に就任。2008年9月、より一層のEC事業発展を目指し、同部門を、新会社「株式会社ピー・ビー・アイ」として分社化。代表取締役に就任。

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