2008年6月定例会でご講演をいただきました、 一級カラーコーディネーターであるナーベルリミテッド 伊熊知子先生をお招きして、ネットショップの運営者の参考になる色の使い方についてお話をお伺いしました。 定例会の詳細はこちら
ナーベルリミテッド 伊熊知子 様
―伊熊先生は長らくカラーコーディネートの講師をされていますが、色への関心はやはり高まっているのでしょうか。
伊熊 知子 氏:
そうですね、色彩の知識ではなく、ビジネスにどう使えるかという観点での関心が高まっていることを実感します。昔は講演をするとアパレルやジュエリーなど一部の業種の方の参加が多かったのですが、今は業種や男女の差もあまりなく、関心の裾野が広がっていると思います。 パーソナルカラー(似合う色)についても全体的なブームは落ち着きましたが、男性はこれからまだ増えてきそうです。会社全体で取り入れるところも増えてきていまして、新入社員の研修で、印象をよくするためにパーソナルカラーを取り入れるところも珍しくなくなっています。
―今日のセミナーは、色の基本から実際のホームページでの使い方まで非常に盛りだくさんの内容でしたが、今回のテーマはどれくらいかけて勉強すべき内容だったのでしょうか。
伊熊 知子 氏:
今回のテーマは本来は6時間コースですね。実際にカラーカードを使って一人ひとりに配色を考えてもらうともっと深く理解ができると思います。ただせっかくの機会ですので、色の基本だけでなく、実際の仕事に役立つ内容にしたかったので、あえて具体的な課題についての話もさせていただきました。―今回実践的な話として、ホームページのアドバイスをしていただきましたが、普段いろいろなホームページをご覧になって色の専門家の観点からどんな印象を持っていますか。ズバリお聞かせください。
伊熊 知子 氏:
昔と比べて、ホームページのクオリティはずいぶん上がっていると思います。確かに良くはなっているのですが、見る人のレベルはもっと上がっているので、昔では気にならなかった細かい部分の差が印象を左右していると思います。「もっとこうすれば良くなるのに、惜しいな」と感じるホームページが多いのが率直な印象です。 ただオシャレできれいであればいいというものではなく、一見ダサく見えても、親しみやすい方がいいケースもあります。大事なのは、自社のブランドやメインターゲット、主力商品と、伝わる印象=色づかいが合っているかということです。まずはその部分のコンセプトをしっかりと固めることが大切です。
―読みやすい、見やすいだけではなく、色の使い方で五感にダイレクトに訴えかけることができるという部分がとても印象的でした。もう少し具体例を教えていただけませんか。
伊熊 知子 氏:
すべての分野でカラーは大切ですが、最も色との関係が深く、本能的なものとしては食品があげられます。例えば青いカレーが目の前に出されたら、食べたいと思いますか。美味しいカレーを無害の着色料で色をつけただけだとわかっていても、おそらく食欲がわかないはずです。これは自然界に天然で青い色をした食べ物がなく、人間が青を食べ物の色として認識していないために起こる現象です。食品ジャンルでは、ブルー系をメインカラーとして使うことは不利ですのでパッケージカラーに青を使わない方がいいということになります。 余談ですが飲食店の実店舗の内装のアクセントとして赤がよく使われるのは、赤などの暖色が食欲を増進する効果があることが最も大きな理由ですが、プラスアルファとして赤い色に囲まれると時間がたったような感じがすることも理由にあげられます。つまりお客さんの回転数を高めるために赤色の持つ効果を使うのですが、このように色は人の時間感覚さえも影響を与えるのです。
―非常に奥が深いですね。ネットショップの運営者として、どこまで色の感性を磨くべきでしょうか。
伊熊 知子 氏:
まず基本的な色の見やすさについての理解は必要です。特に今後は年代の高いお客さんがネットで購入するケースが増えてきますので、シニアにも見やすいサイトであることは大切です。ただもう少し中・上級的な部分、時代の気分や考え方の変化などでも変わってくる色の志向を見極めて販売促進に活かしたり、あえて調和の難しい色を組み合わせて他ではまねのできないトップブランドとしてのクオリティを出すこともとても重要です。 ただ簡単ではありませんので、そうした部分は専門家に相談することも一つの方法だと思います。その時に大切になるのが自社の理念やコンセプトなのです。「とにかく売れる色を教えてくれ」では的確なアドバイスをすることができません。誰に何を売るのか、そのコンセプトがあってこそ色の力が発揮できるのです。
○講演タイトル
『消費者の五感に直接訴えかける色の使い方』
■プロフィール
1999年~ ナーベルLtd.専任講師
資格 1級カラーコーディネーター(商品色彩)、 AFT色彩検定1級、 AFT認定色彩講師、 カラー&イメージアナリスト、 学芸員
★得意なテーマ:カラーアドバイス、 カラーデザインとコンサルテーション、色彩学全般
★講義・指導先:大手下着メーカー、 大学、 専門学校、 商工会議所 ナーベルLtd.
『消費者の五感に直接訴えかける色の使い方』
■プロフィール
1999年~ ナーベルLtd.専任講師
資格 1級カラーコーディネーター(商品色彩)、 AFT色彩検定1級、 AFT認定色彩講師、 カラー&イメージアナリスト、 学芸員
★得意なテーマ:カラーアドバイス、 カラーデザインとコンサルテーション、色彩学全般
★講義・指導先:大手下着メーカー、 大学、 専門学校、 商工会議所 ナーベルLtd.