株式会社トークロア
伊藤 良氏

2023年11月勉強会にて「これで納得!EC事業者が知りたい「物流の2024年問題」と物流の基本」と題して、株式会社トークロア 伊藤 良氏に、今回はebsとして単独インタビューさせていただきました。
勉強会の詳細はこちら

講師: 株式会社トークロア 伊藤 良氏

―在庫管理が顧客への対応でも、キャッシュフローの観点からでも重要になってくると思いますが、在庫管理を適切にするためのABC分析はどのくらい遡った過去データを見るのが適切でしょうか?
伊藤 良氏:
EC運営事業者の在庫管理におけるABC分析では、適切な過去データの期間を決定する際、複数の要因を考慮する必要があります。
一般的に、6ヶ月から1年のデータが適切とされていますが、商品の販売サイクルの長さ、市場動向の変化、商品のライフサイクル、そして需要の安定性によってこの期間は変動します。
例えば、季節商品の場合は少なくとも1年分のデータを分析するのが望ましいですし、市場や消費者の傾向が頻繁に変化する業界では、より最近のデータに重点を置く必要があります。
また、新しい商品や短命な商品では、短期間のデータがより関連性を持ちます。安定した需要を持つ商品の場合は長期間のデータを、不安定な需要の商品では短期間のデータを重視することが適切です。
これらの要因を踏まえ、時期に応じて分析を定期的に更新し、最新の市場動向や需要の変化に対応することが重要となります。
私見ですが、ECで扱われる商品はライフサイクルが早い商品が多いと思いますので、6カ月くらいのデータで隔週~1カ月に一度はデータを追いかけていく必要があると考えています。(システムが対応できるようであれば より高頻度で行えると尚可)
―中小企業の生産性を上げていく取り組みの一丁目一番地はDX化と世の中では大きく言われていますが、近年、リスキリングによるEC業者やロジ業者への効果は業務効率にどのように影響してくるとお考えですか?また、必要とお考えですか?
伊藤 良氏:
業務効率に影響しますし、必要とも考えます。EC事業者や物流事業者においてリスキリングは、従業員が新しいデジタル技術を理解し、業務を効率化するための必須スキルを身に付けることを意味します。
特に、システムへの理解、及び講演でもお話させて頂いた業務の可視化スキルについては、少数精鋭で運営されているEC事業者にとってスムーズな業務運営と顧客サービスの向上に直接寄与します。
ムダを見つけ、効率化と自動化をするために必要なスキルだからです。加えて、従業員のスキルアップは組織の活性化にも貢献し、閉塞感を防ぎます。
これにより、従業員は市場の変化に柔軟に対応し、組織全体の競争力を高めることができます。
個人的には、単に技術の更新だけでなく、組織の成長と持続可能な組織作りに不可欠な要素だと考えており、学び続ける組織を作ることは今後もっとも重要な施策の1つであると考えています。
尚、人材開発支援助成金の「事業展開等リスキリング支援コース」(https://esop.mhlw.go.jp/subsidy-course/a0i5i000002snI2AAI/view)といった助成金が2022年12月より創設され新規事業の立ち上げなどに対応する人材育成の訓練経費や訓練期間中の賃金を助成してくれます。オススメです。


―フレームワークの中で一般的に最もインパクトが起こりそうなポイントはありますでしょうか?
伊藤 良氏:
講演の中で様々なフレームワークや考え方をご紹介させて頂きました。ご存知の通り世の中には多くのフレームワークがございます。
業務効率化といった視点で比較的インパクトがありそうなフレームワークとしては、私が作成した「業務効率化のフレームワーク」でしょうか。1~7までのポイントでそれぞれの業務を見直していけば、なんらかのヒントがあると思っています。
また、その前の工程として業務棚卸や業務フローの構築を行って頂けると効果が高いと考えます。「可視化→業務効率化のフレームワークで考える」、といった形です。また、出来る限り「該当する業務が削減(なくすことが)出来るか?」を考えてみてください。効率化の前に削減が出来るか、ということになります。
○講演タイトル
「これで納得!EC事業者が知りたい「物流の2024年問題」と物流の基本」

○講師プロフィール
株式会社トークロア
代表取締役
伊藤 良氏

EC黎明期に大手企業のEC責任者を経験したのち、様々なベンチャー企業の新規事業に携わる。前職のEC物流企業では立ち上げメンバーとして年商10倍以上に引き上げ業界のトッププレイヤーに組織を育て上げる。独立後は50以上のプロジェクトを牽引し、上場企業4社を含めた新規事業のアドバイザーとして活動する。実践的かつハンズオンの指導に定評があり、「少数精鋭企業やチームの支援」をミッションとして活動する。

トークロアの他にも複数社の役員として携わるとともに、2020年にEC運営事業者を始めとした中小企業を資金調達面で支援するため、株式会社バックボーンワークス(認定経営革新等支援機関:108013010712│ISMS認証取得済企業。補助金採択率 90%以上、獲得補助金総額10億円以上)及び社労士事務所バックボーンワークスを設立し完全成功報酬による補助金・助成金の支援サービスを提供している。


EBS定例会参加表明

イーコマース事業協会ご入会お申し込み